焼酎(麦・米)杜氏インタビュー 徳田 秀樹(とくだ ひでき)
徳田 秀樹(とくだ ひでき)
2004年に喜多屋に入社し焼酎造りの道へ。2016年に麦と米焼酎の杜氏に就任し、2017年には「麦焼酎 喜多与作」で福岡国税局酒類鑑評会の第1位の大賞を受賞。2022年には「本格麦焼酎 喜多屋」でIWSC(インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション)2022で最高金賞および最高得点99ptsを受賞。ブレない気持ちでまっすぐにお酒と向き合うことがモットー。
●これまでの経歴は
喜多屋に入る前までは、19年間、酒類卸販売の営業マンでした。メーカー(蔵元)と販売店に足を運び、お酒を多くの人に届ける仕事です。
しかし働く中でだんだんと、「販売する人ではなく、造る人になりたい」という気持ちが大きくなり、その頃ちょうどご縁のあった喜多屋に入社しました。
1年目、実際に経験する酒造りの大変さと魅力に驚かされたことは今でも鮮明に覚えています。初めは芋焼酎、それから麦・米焼酎と担当していきました。2016年に杜氏に就任し、現在に至ります。
●焼酎造りの魅力や難しさ
麦焼酎・米焼酎は、「原料準備→麹造り→仕込み(発酵)→蒸留→貯蔵と熟成→仕上げ(ブレンドなど)」という作業を経て出来上がります。
ただ同じ材料と同じ製法で造ったとしても、決して同じ香味の焼酎は出来上がりません。
麹造りや発酵などの作業を筆頭に、繊細な温度・湿度・時間の管理が必要になってくるからです。
喜多屋では人の手と目が行き届くように小さい道具で仕込みを行いますが、それでも気を抜かず、時には付きっきりになって対応し、愛情を込めて育てるように造ることが重要になります。
そういった「手をかけた分だけ応えてくれるところ」が焼酎造りの面白さであり、難しさでもあると実感していますね。
●蔵人は、生き方。
喜多屋の歴史と伝統を背負う蔵人の1人として、自分なりにまっすぐにお酒と向き合うことを心がけています。
特に焼酎造りは視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感を研ぎ澄ませて行う作業。味や香りを見極めるのはもちろん、もろみの顔(表面)から発酵の状態を探ったりと、お酒が出来上がるまでの全行程に、技術だけじゃない自分の持てる全てで対応する必要があると思うからです。
営業マン時代は吸っていたタバコも、悪影響になると思ってキッパリとやめました。
飲むお酒も、本当はどんな種類でも好きなんですが、今は麦焼酎ばかりを飲んでいます(笑)。
蔵人という職業は、自分の生き方そのものだと感じています。
●福岡国税局酒類鑑評会”大賞”
杜氏になって2年目の2017年、「麦焼酎 喜多与作」で福岡国税局酒類鑑評会の第1位の大賞を受賞しました。
喜多与作は、福岡県産の二条大麦「はるしずく」を原料に常圧蒸留したもので、「長期熟成 麦焼酎 是空」と「長期樫樽熟成 麦焼酎 吾空」を貯蔵する前の種酒となる自慢の原酒です。
大賞を取るまでの道のりは、私に蔵人として大切なものを気づかせてくれました。
というのも、実は大賞を取る前年に、同じ喜多与作を出品して金賞(大賞のひとつ下の賞)を受賞していたんです。
金賞の喜多与作と大賞の喜多与作は、設備も原料も製造工程も蔵人の技術も、見える部分は何一つ変わっていません。
ただ確実に違うと言えたのは、私や蔵人たちの焼酎造りにかける想いの力でした。これまでも熱心に焼酎造りを行ってきましたが、2017年は、「1番のお酒を造りたい」や「何よりも美味しいお酒を飲んで欲しい」という想いが一層強まったのです。
私は、その気持ちがお酒の味わいに乗ったから大賞を受賞できたのだと思っています。
ですから大賞を受賞してからは、より一層、真摯な気持ちでお酒と向き合うようになりました。
もっと美味しいお酒を皆さまに飲んでいただきたいという願いと、一緒に頑張っているチームや支えてくれる家族・仲間への深い感謝を胸に、日々、まっすぐブレない酒造りに励んでいます。
●今後の目標は
より多くの人に喜多屋の焼酎を知って楽しんでいただきたいですね。
そのためにも、チーム一丸となって美味しい焼酎・銘柄造りに取り組んでいく所存です。
ありがたいことに、昨年のIWSC2022(インターナ ショナル・ワイン&スピリッツ・コンペディション2022)では、「本格麦焼酎 喜多屋」が最高金賞99ptsを受賞し、たくさんの反響をいただきました。
喜多屋の焼酎を目にする機会が増えて、飲んでくださった方に喜んでいただければ何よりです。
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